2025/05/08
【建設業経営者向け】建設業界の口約束の法的拘束力は?契約書を交わすべき5つの理由
しかし、“口約束”だけで仕事を進めるのは、実は大きな法的リスクを抱えている行為です。今回は、実際のトラブル事例も踏まえながら、契約書を作成しておくべき5つの理由を解説します。
1. 工事内容の誤解・食い違いを防ぐ
例えば「Aタイプの防水処理だと思っていたのに、実際はBタイプで施工された」というようなトラブルはよく起こります。
仕様や施工範囲を曖昧にしたまま口頭でやり取りすると、完成後に「そんな話は聞いていない」という認識違いが発生しやすくなります。
契約書で工事の内容を明記しておけば、責任の所在を明確にし、後のトラブルを未然に防ぐことができます。
2. 支払いトラブルを防げる
「請求書を出したのに、“そんな金額は聞いていない”と支払いを拒否された」といったトラブルも少なくありません。
金額、支払い方法、期日などの条件は、必ず契約書で取り決めておくことが重要です。
書面があることで、工事代金請求の正当性を裏付けられます。
3. 追加工事・仕様変更で揉めない
建設現場では、急な仕様変更や追加工事がつきものです。
しかし、事前に書面で合意を得ていないと、追加費用をめぐって揉めることがあります。
契約書に「追加工事は都度書面で取り交わす」と記載しておけば、請求・支払いの根拠が明確になります。
4. 瑕疵や事故の責任分担を明確にできる
工事完了後に欠陥が発見された場合や事故が起きた場合、どちらに責任があるかでもめるケースがあります。
契約書に保証期間や責任範囲を明記しておくことで、法的責任を回避・軽減できる可能性があります。
5. 契約の存在を法的に証明しやすくなる
口頭契約も民法上は有効ですが、トラブルが発生した際に「契約自体があった」と証明するのが難しいのが実情です。
書面契約があれば、裁判でも有力な証拠になります。
まとめ:契約書は“信頼の証”であり“保険”でもある
「昔からの信頼関係があるから大丈夫」──そう思っていても、トラブルは予期せぬ形で起きます。
むしろ、信頼関係があるからこそ、お互いを守るために契約書を取り交わすことが、今後の円滑な取引につながります。