2025/07/04
【建設業経営者向け】「工期遅延」リスクに備える!納期条項の基本と注意点
建設工事の現場では、天候・人手不足・資材の納期ズレなど、さまざまな要因で工期の遅延が発生します。
そしてこの「工期の遅れ」、実は契約書の条項次第でトラブルの深刻度が大きく変わることをご存じでしょうか?
本記事では、工期に関する契約条項の基本と、実務上の注意点をわかりやすく解説します。
■ なぜ「納期条項」が重要なのか?
工期が遅れると…
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元請から損害賠償請求される
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代金の支払拒否や減額交渉に発展する
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次の現場とのスケジュールが崩れる
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元請・施主との信頼関係が悪化
このように、納期トラブルは金銭的な損害にとどまらず、継続的な取引にも影響するリスクがあります。
■ 契約書に入れておきたい「納期条項」の基本構成
納期条項は、次の3つの視点を押さえておくのがポイントです。
① 工期の明確化
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「着工日」「竣工日」「工期の長さ(日数)」を具体的に記載
例:令和○年○月○日から令和○年○月○日までの60日間
② 遅延が発生した場合の責任分担
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誰に原因があるのか(天災/元請の設計変更/下請の施工不良など)
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「不可抗力」の内容を具体例で示しておくと良い
③ 損害賠償・違約金の有無
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遅延が発生したときに「違約金が発生するのかどうか」
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請負金額に対して〇%の遅延損害金とする条項を盛り込む例も
■ 工期遅延の“典型トラブル”とその対策
ケース①:口頭で納期を決めていたため、責任の所在が不明に
→ 📌 契約書や注文書で明確な日付を記載しておくことが大切です。
ケース②:悪天候や資材不足による遅れで責任を問われた
→ 📌 契約書に「天災・資材供給遅延等による工期延長は可能」との文言を入れておきましょう。
ケース③:元請の設計変更で工期がずれたが、下請に責任を押し付けられた
→ 📌 「発注者の指示変更により工期変更が必要となる場合は、協議のうえ工期を変更する」などの条項を記載することで回避可能です。
■ 納期条項を設ける際の注意点まとめ
| チェックポイント | 対応方法例 |
|---|---|
| 工期の始期・終期は明記してあるか? | 契約書・注文書に日付を明記 |
| 工期延長が必要な場合のルールがあるか? | 「協議により延長できる」「不可抗力の場合除外」などの条文を用意 |
| 遅延時の損害賠償・違約金の条件が決まっているか? | 割合(例:日額〇円)や上限額を設定 |
| 記録が残る形でやりとりされているか? | LINE・メール・議事録などで「合意」の証拠を残す |
■ まとめ:納期条項が、会社を守る“防波堤”になる
納期は、工事契約の最重要ポイントの1つです。
曖昧にしてしまうと、遅延の責任を一方的に押し付けられたり、思わぬ損害賠償リスクを背負う可能性もあります。
「トラブルが起きても、契約書を見ればわかる」
そう言える体制を作ることが、強い建設会社づくりの第一歩です。